わたしたちの目的
20世紀のめざましい技術革新とともに、これまで画期的な治療法や先端的な情報技術を駆使した医療システムが次々と生み出されてきました。
こうした医療におけるイノベーションの前提には、日本社会の持続的経済発展が想定されていたことはいうまでもありません。しかし、医療をとりまく社会環境は、右肩上がりの成長型社会から、少子高齢という低成長あるいは安定型社会へと移行し、これまでの大量消費型医療モデルから、少量有効消費型モデルへと転換しつつあります。同時に、医療自体が「サービス」としてその提供方法や品質を問われるようになってきました。
医療は今、岐路にあり、未来を左右する大きな転換期を迎えています。人々のニーズや社会の期待に応えるため、大胆な制度とサービスの再設計が求められています。
このような課題に的確に応え、より実践的でより社会とのコンタクトを重視した「生きた研究・実践の場」が必要との認識から、同志社大学は、2006年4月、「技術革新、公共性、市場性を反映した医療制度設計と医療サービスに関する寄付教育研究プロジェクト」(医療政策・経営研究センター)を、大学院総合政策科学研究科内に設置しました。
医療政策・経営研究センターには、大きく分けて二つの目的があります。
第一の目的は、すぐれた医療技術が国民のwell-beingの向上に寄与できる医療システムを確立するための、具体的な制度設計を提案することです。遺伝子技術やITなど医療におけるめざましい技術革新の成果が、国民の健康改善や福祉に真に貢献するためには、合理的な規制改革を通じて、その成果を最大に活かす医療サービスを提供することが不可欠ですし、そのサービスを支える経済的基盤の整備と、サービス提供をより効果的におこなうためのマネジメントスキームが必要です。また、「医は仁術」と言われるように、すぐれた医療従事者の介在なしにはすぐれた医療の成果は人々に届きません。
そこでセンターでは研究ドメインとして、「医療政策・経済研究」と「医療経営・ビジネス」のふたつの研究ドメインを設け、医療・経済・経営・金融・社会・心理・看護など多様な領域の研究者と実務家が共同で、次の世代にすぐれた医療制度を継承するための人、モノ、経済資源の有効な活用のあり方とサービスのかたち、それを可能にするマネジメントとファイナンスの方法を研究していきます。
第二の目的は、研究活動によってわたしたちが提案していく新しい医療ビジネスモデルを、実際のマーケットに提供するための具体的な支援をおこなうことです。医療サービスの創生と育成、そして市場化は、まさにベンチャー起業家の育成と同じダイナミクスをもっています。
センターは、大学の事業育成プログラムや公的な医療サービス産業育成事業などとの連携をはかりながら、ふたつの研究ドメインの成果をもとに、公開セミナーやワークショップなどの教育活動を通じて、新しい医療サービスのインキュベーターとしての機能を発揮します。
これらの目的を実現するために、本センターは、旧来的な「研究センター」の枠を超え、学内の他の教育研究プロジェクト*とも緊密に連携するとともに、国内国外の研究者、実務家、企業とのコラボレーションを重視し、より良い未来の医療の実現へ向けて、画期的な医療政策とビジネスの総合研究・教育センターとして、活動していきます。